第10章 賃金の相場を読む
自分の賃金が相場と比べてどうかを見るときの代表的な物差しが、厚生労働省の賃金構造基本統計調査です。何を測っている数字かを知ってから使います。
この章で分かること
統計の「賃金」が残業代と賞与を含まない6月分の平均であること。年齢・学歴・企業規模でどれだけ違うか。
賃金構造基本統計調査とは
賃金構造基本統計調査は、統計法に基づく基幹統計で、主要な産業の労働者の賃金を、雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数などの区分で明らかにする調査です。
- 対象は、常用労働者5人以上の民営事業所と、10人以上の公営事業所です。
- 調査年の6月分の賃金を、7月に調べます。賞与などの特別給与は、前年1年間の分です。
- 抽出する事業所は約8万、労働者は約170万人です。
所定内給与という物差し
この調査の「賃金」は、6月分の所定内給与額の平均です。所定内給与額は、6月分として支給された現金給与額(きまって支給する現金給与額)から、時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当などの超過労働給与額を引いた額で、所得税や社会保険料を引く前の額です。
つまり、残業代と賞与を含まない、額面の月額です。自分の給与明細と比べるときは、基本給と手当のうち時間外手当を除いた額を使います(第7章)。また、平均は一部の高い賃金に引き上げられるため、真ん中の人の値と一致するとは限りません。
| 区分 | 定義 |
|---|---|
| 一般労働者 | 短時間労働者以外の、通常の所定労働時間・日数の労働者 |
| 短時間労働者 | 同じ事業所の一般の労働者より1日の所定労働時間が短いか、1週の所定労働日数が少ない労働者 |
| 大企業・中企業・小企業 | 常用労働者1,000人以上・100〜999人・10〜99人 |
年齢・学歴・企業規模で見る
令和7年(2025年)の一般労働者の賃金は、男女計で月34万600円(340.6千円)で、前年より3.1%増えました。男性は373.4千円、女性は285.9千円で、男性を100としたときの女性の賃金は76.6と、比べられる昭和51(1976)年以降で最も差が縮まりました。平均年齢は44.4歳、平均勤続年数は12.7年です。
| 区分 | 賃金(千円・男女計) |
|---|---|
| 25〜29歳 | 279.4 |
| 35〜39歳 | 340.6 |
| 45〜49歳 | 377.9 |
| 55〜59歳 | 396.2 |
| 高校卒(年齢計) | 297.2 |
| 大学卒(年齢計) | 396.3 |
| 大企業(年齢計) | 385.1 |
| 小企業(年齢計) | 305.6 |
表の全体はデータ:令和7年の賃金に載せています。年齢・学歴・企業規模を組み合わせて自分の月給と並べるには、次のツールを使います。
この章の計算をする
年収相場チェッカー 月給を、年齢・学歴・企業規模別の平均と並べます。
確認の4択
賃金構造基本統計調査の「賃金」に含まれないものはどれですか。
所定内給与額は、時間外・深夜・休日の手当などの超過労働給与額を引いた額です。
令和7年の一般労働者の賃金(男女計)は前年比で何%増えましたか。
340.6千円で、前年比3.1%増です。
この調査の企業規模の「大企業」は、常用労働者何人以上ですか。
大企業は1,000人以上、中企業は100〜999人、小企業は10〜99人です。
出典
更新:2026年11月4日。この章は一般的な情報で、個別の税務・労務の助言ではありません。