給与と税の教科書
給与明細の読み方、社会保険、税の3章です。数値は令和8年(2026年)時点のもので、出典を各章の末尾に載せています。
第1章 給与明細の読み方
給与明細は、勤怠・支給・控除の3つの欄に分かれていることが多いです。
| 欄 | 主な項目 |
|---|---|
| 勤怠 | 出勤日数、欠勤日数、残業時間、有給休暇の取得日数と残日数 |
| 支給 | 基本給、各種手当、時間外手当、通勤手当。合計が総支給額(いわゆる額面) |
| 控除 | 健康保険料、介護保険料(40〜64歳)、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税 |
総支給額から控除の合計を引いたものが差引支給額で、口座に振り込まれる手取りです。
所得税は毎月の概算を年末調整で精算
毎月の所得税は、源泉徴収税額表にあてはめた概算で差し引かれます。1年分の正しい税額は、年末調整で配偶者や扶養親族、保険料控除などを反映して確定し、差額が12月か1月の給与で精算されます。
住民税は前年の所得で決まる
住民税は、前年1月から12月の所得をもとに計算され、会社が毎月の給与から差し引いて市区町村に納めます(特別徴収)。転職や昇給で今年の収入が変わっても、今年引かれる住民税は前年の所得に基づく額です。
通勤手当
通勤手当は、非課税限度額の範囲内であれば所得税はかかりません。一方で、社会保険料の計算のもとになる報酬には含まれます。
有給休暇の残日数の目安は有給休暇の付与日数で確かめられます。
第2章 社会保険
会社員が給与から差し引かれる社会保険料は、健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金・厚生年金・雇用保険です。雇用保険以外は、労使で半分ずつ負担します。
| 保険 | 料率(労使合計) | 本人負担 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 健康保険(協会けんぽ) | 9.90% | 4.95% | 令和8年度の全国平均。都道府県支部ごとに異なる |
| 介護保険 | 1.62% | 0.81% | 40〜64歳が対象 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23% | 0.115% | 令和8年4月分から |
| 厚生年金 | 18.3% | 9.15% | 平成29年9月から固定 |
| 雇用保険(一般の事業) | 13.5/1,000 | 5/1,000 | 令和8年度。事業主は8.5/1,000 |
健康保険組合に加入している場合は、組合ごとの料率と負担割合になります。
標準報酬月額
健康保険と厚生年金の保険料は、毎月の給与そのものではなく、給与を区切りのよい幅にあてはめた「標準報酬月額」に料率をかけて計算します。原則として4月から6月に支払われた報酬の平均で決まり、その年の9月から1年間使われます(定時決定)。報酬には基本給のほか、残業代や通勤手当も含まれます。賞与には、別に標準賞与額に料率をかけた保険料がかかります。
第3章 税
所得税の計算の流れ
| 段階 | 計算 |
|---|---|
| 1. 給与所得 | 給与収入 − 給与所得控除 |
| 2. 課税所得 | 給与所得 − 所得控除(社会保険料控除・基礎控除・配偶者控除・扶養控除など) |
| 3. 所得税 | 課税所得 × 税率 − 控除額 |
| 4. 納める額 | 所得税 + 復興特別所得税(所得税の2.1%) |
所得税の税率
| 課税所得 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
令和8年分の改正
令和8年度税制改正で、所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円から74万円)、扶養親族等の所得要件の引上げ(58万円から62万円)が行われました。原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。会社員の場合は、令和8年分の年末調整で反映されます。下の表の基礎控除(合計所得金額655万円以下の上乗せ分)と最低保障額74万円は令和8・9年分の特例を含む額で、令和10年分以後は変わります。
| 合計所得金額 | 基礎控除(令和8年分) |
|---|---|
| 489万円以下 | 104万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 67万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 62万円 |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | 48万円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 |
住民税
住民税は、所得割と均等割を合わせた額です。所得割は課税所得の10%(道府県民税4%・市町村民税6%)から調整控除などを引いて計算します。均等割は4,000円(道府県民税1,000円・市町村民税3,000円)で、これに国税の森林環境税1,000円が併せて徴収されます。住民税の基礎控除は43万円で、所得税とは額が異なります。
自分の年収で計算すると、手取り計算機で1年分の所得税・住民税の目安が出ます。
この教科書は一般的な情報で、個別の税務・労務の助言ではありません。