第3章 雇用の形
雇用の形は、契約に期間の定めがあるか、所定労働時間が短いか、誰と契約し誰の指揮で働くか、の3つの点で分けられます。
この章で分かること
有期契約から無期契約に変わる条件。正社員との待遇差について会社に説明を求められること。派遣の3年の上限。
期間の定めがある契約とない契約
いわゆる正社員の多くは期間の定めのない契約(無期労働契約)で、契約社員などは期間の定めのある契約(有期労働契約)です。有期労働契約では、やむを得ない事由がなければ、使用者は契約期間が満了するまで解雇できません(労働契約法第17条)。
有期労働契約が3回以上更新されているか、雇い入れの日から1年を超えて続いている人の契約を更新しない場合、使用者は少なくとも契約期間が満了する日の30日前までに予告しなければなりません。反復して更新され、更新されると期待することに合理的な理由がある場合などは、更新を拒むことに客観的に合理的な理由が必要です(労働契約法第19条)。
無期転換ルール
同じ使用者との有期労働契約が更新されて通算5年を超えると、労働者の申込みによって無期労働契約に転換できます(労働契約法第18条)。使用者は申込みを断れません。転換するのは、申込み時の有期労働契約が終わる日の翌日からです。
- 対象は平成25年4月1日以後に始まった有期労働契約で、その通算期間を数えます。
- 契約期間が1年なら5回目の更新後の1年間に、3年なら1回目の更新後の3年間に、申込みができるようになります。
- 契約と契約の間に契約のない期間が6か月以上あると、それより前の契約期間は通算されません(直前の契約期間が1年未満の場合は別の期間が定められています)。
- 転換後の労働条件は、別段の定めがある部分を除き、期間の定めがないことのほかは転換前と同じです。
パートタイム・有期雇用労働法
パートタイム・有期雇用労働法は、同じ企業の中で、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間に不合理な待遇差を設けることを禁じています。大企業は2020年4月1日、中小企業は2021年4月1日から適用されています。
| 規定 | 内容 |
|---|---|
| 不合理な待遇差の禁止(第8条) | 基本給や賞与などあらゆる待遇について、職務の内容、配置の変更の範囲、その他の事情のうち、その待遇の性質・目的に照らして適切なものを考えて、不合理な差を設けてはならない |
| 差別的取扱いの禁止(第9条) | 職務の内容と配置の変更の範囲が正社員と同じ人について、雇用形態を理由に差別的に取り扱ってはならない |
| 説明の義務 | 労働者が求めたとき、事業主は正社員との待遇差の内容と理由を説明しなければならない。求めたことを理由に不利益に扱ってはならない |
争いになったときは、都道府県労働局の無料・非公開の紛争解決の手続きを使えます。
短時間で働く人が健康保険と厚生年金に加入する条件は、第8章で扱います。
派遣という形
派遣で働く人は派遣会社(派遣元)と労働契約を結び、派遣先の指揮命令を受けて働きます。派遣の受け入れには期間の制限があります。
- 事業所単位:同じ事業所が派遣を受け入れられる期間は原則3年です。過半数労働組合などの意見を聴けば延長できます。
- 個人単位:同じ派遣労働者を、同じ事業所の同じ組織単位(課やグループなど)で受け入れられる期間は3年が上限です。
- 派遣元に無期雇用されている人、60歳以上の人などは、この期間制限の対象外です。
確認の4択
無期転換の申込みができるのは、同じ使用者との有期労働契約が通算何年を超えたときですか。
労働契約法第18条により、通算5年を超えると労働者の申込みで無期労働契約に転換できます。
派遣で、同じ派遣労働者を同じ組織単位で受け入れられる期間の上限は。
個人単位の期間制限は3年です。派遣元に無期雇用されている人や60歳以上の人は対象外です。
パートタイム・有期雇用労働法で、労働者が正社員との待遇差の理由を求めたとき、事業主は。
事業主は待遇差の内容と理由を説明しなければならず、求めたことを理由に不利益に扱ってはなりません。
出典
- e-Gov法令検索「労働契約法」
- 厚生労働省「無期転換ルールについて」
- 厚生労働省 確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止めなど」
- 厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法とは」
- 厚生労働省 スタートアップ労働条件「派遣労働者の受入期間制限」
更新:2026年11月4日。この章は一般的な情報で、個別の税務・労務の助言ではありません。